SNSを見ていると、ビットコイン価格について「まだ上がる」「もう天井」「ここから暴落する」といった発言をよく見かけます。
もちろん、深い分析に基づいた発言かもしれませんが、「その根拠はどこにあるのか」が分からないことも多いですよね。
価格チャートだけを見ていると、上がった・下がったという結果は分かりますが、
- 今の価格が高いのか、安いのか
- 短期勢が過熱しているのか
- 長期保有者が売り始めているのか
といったことは見えにくいです。
そこで役立つのが、bitcoin.jpの「Bitcoin.jp Data」に掲載されている13のチャートです。
オンチェーンデータ、デリバティブ、市場インサイトが提供されています。
この記事では、その13チャートを使って、SNSの相場観に振り回されず、自分でビットコイン価格の根拠を確認する方法を解説します。
- 「Bitcoin.jp Data」に掲載されている13のチャートの見かた
- SNSの価格発言を検証するチェックリスト
チャートは未来を当てる道具ではなく「現在地を確認する道具」
ビットコインのチャートを見る目的は、未来の価格をピンポイントで当てることではありません。
大切なのは、今の相場がどんな状態にあるのかを複数の角度から確認することです。
たとえば、誰かが「ビットコインはまだ割安」と言っていたとします。
そのときに確認するのは、次のような項目です。
ビットコイン価格の根拠
- 価格は過去の平均やオンチェーン価格帯と比べてどの位置にあるのか
- 投資家全体は大きな含み益を抱えているのか
- 短期保有者は利益確定しやすい状態なのか
- 長期保有者は売り始めているのか
- 先物市場はレバレッジで過熱していないか
- ETF経由の資金は入っているのか、抜けているのか
こうした疑問が持てれば、SNSの発言をそのまま信じるのではなく、「その発言がどのデータを根拠にしているのか?」を自分で確認するようになります。
この「確認作業」に使えるのが、bitcoin.jpの13チャートです。
bitcoin.jpの13チャート一覧
bitcoin.jpのBitcoin.jp Dataには、次の13チャートが掲載されています(2026年5月4日時点)。
| カテゴリ | チャート名 | 何を見るか |
|---|---|---|
| 市場概況 | オンチェーン価格バンド | 現在価格が過去のオンチェーン価格帯と比べてどの位置にあるか |
| 市場概況 | メイヤー・マルチプル | 200日移動平均との比較から、価格の過熱感を見る |
| 市場概況 | 実現時価総額 | ビットコインにどれだけの資本が入っているかを見る |
| オンチェーン | MVRV Zスコア | 市場全体の含み益・割高感を見る |
| オンチェーン | 含み益の供給量 | 利益状態にあるビットコインの割合を見る |
| オンチェーン | STH-MVRV | 短期保有者の含み益・含み損を見る |
| オンチェーン | STH-SOPR | 短期保有者が利益確定しているか、損切りしているかを見る |
| 供給量 | LTH/STH 内訳 | 長期保有者と短期保有者の供給バランスを見る |
| 供給量 | HODLウェーブ | どれくらい長く保有されているコインが多いかを見る |
| 供給量 | 復活供給量 | 長く動いていなかったコインが再び動き出したかを見る |
| デリバティブ | ファンディングレート | 先物市場のロング・ショートの偏りを見る |
| デリバティブ | 建玉 | 未決済の先物ポジションの規模を見る |
| ETF | ETFフロー | 現物ETF経由の資金流入・流出を見る |
チャートは「市場概況 → オンチェーン → 供給量 → デリバティブ → ETF」の順で見ると、相場の全体像をつかみやすくなります。
市場概況:まず価格の位置感をつかむ
最初に見るのは、市場概況の3チャートです。
ここでは「今の価格はどのあたりにいるのか」をざっくり確認します。
オンチェーン価格バンド(オンチェーン・オリジナル価格モデル)
オンチェーン価格バンドは、現在の価格が過去のオンチェーン上の価格モデルと比べて、どの位置にあるのかを見るためのチャートです。
価格を見ると、「過去最高値に近いのか」、「調整中なのか」が分かります。
SNSで「まだ安い」「もう高い」という発言を見たときは、まずこのチャートで価格の位置感を確認してみましょう。

メイヤー・マルチプル
メイヤー・マルチプルは、ビットコイン価格を200日移動平均と比べる指標です。
簡単に言うと、長めの平均価格からどれくらい上に離れているか、または下に離れているかを見るチャートです。
価格が200日移動平均から大きく上に離れていると、短期的には過熱している可能性があります。
逆に、平均に近づいていたり下回っていたりすると、過熱感は薄れていると考えやすくなります。
これだけで売買判断はできませんが、相場が熱くなりすぎていないかを確認するのに使えます。

実現時価総額
実現時価総額は、ビットコインにどれだけの資本が入っているかを見るための重要なオンチェーン指標です。
通常の時価総額は、現在価格に発行済数量を掛けて計算します。
一方、実現時価総額は、各ビットコインが最後に動いたときの価格をもとに評価します。
つまり、単なる現在価格ではなく、「実際にどの価格帯で資本が入ってきたのか(市場全体の平均取得コスト)」を見るイメージです。
実現時価総額が伸びているなら、ネットワーク全体に新しい資本が入っている可能性があります。
逆に伸びが止まったり下がったりしているなら、利確や損切りによって資本の流れが変わっている可能性があります。

オンチェーン:投資家の損益と過熱感を見る
次に見るのは、投資家の損益状態です。
ビットコイン価格が上がっていても、多くの投資家が大きな含み益を抱えている状態なのか、まだ平均取得価格に近い状態なのかで、相場の意味は変わります。
MVRV Zスコア
MVRVは、Market Value to Realised Valueの略です。
市場価格と実現価格の差を見る指標です。
簡単に言えば、「市場全体がどれくらい含み益を抱えているか」を見るための指標です。
- MVRVが高い:市場全体が大きな含み益を抱えており、「そろそろ利確しよう」という心理が働きやすい状態
- MVRVが低い:含み損を抱えている人が多く、弱い参加者がすでに振り落とされ「底」に近い状態
SNSで「まだ上がる!」という投稿を見かけたら、MVRVが高水準(赤色のゾーン)に達していないか確認してみましょう。

含み益の供給量
含み益の供給量は、現在の価格で見たときに、利益状態にあるビットコインがどれくらいあるかを見るチャートです。
利益状態の供給が多いと、多くの保有者が「売れば利益が出る」状態にあります。
強い上昇相場では自然なことですが、同時に利確の候補も増えているという見方ができます。
逆に、含み益の供給が少ない状態では、多くの参加者が含み損を抱えている可能性があります。
弱気相場は損失が膨らむ状態ですが、長期的には売り圧力が出尽くしていく局面と見ることもできます。
SNSで「みんな儲かっているからまだ強い」といった発言を見たときに、実際にどれくらいの供給が利益状態にあるのかを確認するのに役立ちます。

STH-MVRV
STHはShort-Term Holder、短期保有者のことです。
STH-MVRVは、短期保有者が平均的に含み益なのか、含み損なのかを見る指標です。
短期保有者は、相場の雰囲気に影響されやすい層です。
価格が上がっているときに新しく買った人が多い場合、少し下がっただけでも不安になります。
- STH-MVRVが高い場合、短期勢が利益を抱えているため、利確が出やすい状態と言える
- STH-MVRVが低い場合は、短期勢が含み損を抱えていて、投げ売りや不安心理が強まっている可能性がある
短期的な相場の不安定さを知りたいときに、使いやすいチャートです。

STH-SOPR
SOPRは、Spent Output Profit Ratioの略です。
売却・移動されたビットコインが、平均的に利益確定だったのか、損切りだったのかを見る指標です。
STH-SOPRは、短期保有者版のSOPRです。
- 1を上回る状態は、短期保有者が平均的に利益を出して売っていると考えられる
- 1を下回る状態は、短期保有者が損切りしている可能性がある
たとえば、価格が少し下がっただけなのにSTH-SOPRが大きく悪化しているなら、短期勢の心理がかなり弱くなっていると考えられます。
逆に、価格が上がっているのにSTH-SOPRが過熱しているなら、短期勢の利確が増えている可能性があります。

供給量:長期保有者と短期保有者の動きを見る
ビットコイン相場では、誰が売っているのか、誰が持ち続けているのかも重要です。
同じ価格上昇でも、長期保有者が動かずに短期勢だけが売買しているのか、長期保有者が大きく売り始めているのかで意味が変わります。
LTH/STH 内訳
LTHは「Long-Term Holder = 長期保有者」、STHは「Short-Term Holder = 短期保有者」の略です。
LTH/STH 内訳を見ると、ビットコインの供給が長期保有者側に多いのか、短期保有者側に移っているのかが分かります。
強い上昇相場では、長期保有者が少しずつ利益確定し、そのコインを新しい買い手が受け取ることになり、供給がLTHからSTHへ移りやすくなります。
長期保有者から短期保有者への移転が大きく進むと、相場が成熟してきたサインとして見ることもできます。
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HODLウェーブ
HODLウェーブは、ビットコインがどれくらいの期間動いていないかを年齢別に見るチャートです。
長く動いていないコインが多いほど、強く保有されていると考えられます。
逆に、長期保有されていたコインが動き始めると、保有者が売却や移動を始めた可能性があります。
価格が上がっているときに、長期保有コインがどんどん動き始めているなら、「強い人たちが利益確定を始めているのかもしれない」と考えることができます。

復活供給量
復活供給量は、長く動いていなかったビットコインが再び動いた量を見るチャートです。
古いコインが動く理由は、単なる売却だけでなく、「クジラ(大口保有者)の冬眠からの目覚め」を意味するため、相場の転換点になる可能性があります。
価格上昇局面で復活供給量(長く眠っていたコイン)が急に増えているなら、長期保有者が相場の強さを利用して一部を手放している可能性があります。
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デリバティブ:短期的な過熱感を見る
短期的な急騰・急落は先物市場の影響が大きいため、ファンディングレートと建玉をセットで見ておくと、SNSの短期的な強気・弱気発言を検証しやすくなります。
ビットコイン無期限先物ファンディングレート
ファンディングレートは、先物市場でロングとショートのどちらに偏っているかが分かる金利です。
- ロングが多すぎると、ロング側がショート側へ金利を払う
- ショートが多すぎると、ショート側がロング側へ金利を払う
ファンディングレートが高い状態は、強気ポジションが混み合っているサインになることがあります。
確認が必要なのは、「価格上昇」、「高いファンディングレート」、「大きな建玉」が同時に起きていないかです。
この3つが重なると、短期的な過熱感には注意が必要です。
ただし、ファンディングレートが高いからすぐ下がるわけではなく、高めの状態が続くこともあります。

ビットコイン先物未決済建玉
建玉は、まだ決済されていない先物ポジションの規模です。
建玉が大きいほど、市場に残っているレバレッジポジションが多いと考えられます。
レバレッジが積み上がっている状態では、価格が少し逆方向に動いただけでロスカットが連鎖しやすくなります。
- 価格が上がりながら建玉も増えているなら、新しいレバレッジの買いが入っている可能性がある
- 価格が下がりながら建玉が減っているなら、ポジション整理が進んでいる可能性がある
SNSで「ここから一気に上がる」と言われているときほど、建玉が積み上がりすぎていないか確認が必要です。

ETF:現物需給を見る
2026年時点では現物ETF経由の資金流入・流出は機関投資家の「日常的な需給チャネル」として定着しています。
bitcoin.jpのETFフローでは、ETFを通じてビットコイン市場に資金が入っているのか、抜けているのかを確認できます。
ETFフロー
ETFフローは、現物ETFへの資金流入・流出を見るチャートです。
- 流入が続いている場合、ETF経由の買い需要が強い可能性がある
- 流出が続いている場合、ETF投資家の売りや資金引き上げが起きている可能性がある
数日から数週間の流れを見て、短期的なノイズではなく、資金が継続して入っているのか、勢いが弱まっているのかを確認します。
ETFフローは、オンチェーンデータでは見えにくい現物需給を補うチャートとして使えます。

初心者におすすめの見る順番
13チャートを全部見ようとすると大変なので、最初は、次の順番で見てみましょう。
【初心者用】ビットコインチャートの見る順番
- 「オンチェーン価格バンド」と「メイヤー・マルチプル」で、価格の位置感を見る
- 「MVRV Zスコア」で、市場全体の過熱感を見る
- 「STH-MVRV」と「STH-SOPR」で、短期保有者の損益と心理を見る
- 「復活供給量」で、長期保有者の動きを見る
- 「ファンディングレート」と「未決済建玉」で、レバレッジの偏りを見る
- 「ETFフロー」で、現物ETF経由の資金流入・流出を見る
この順番で見ると、価格の位置感から始まり、投資家の損益、供給の動き、短期市場の過熱、ETF需給まで自然につながります。
順番を固定して週1回くらいで確認すると、相場の変化に気づきやすくなります。
SNSの価格発言を検証するチェックリスト
SNSのビットコイン価格予想を見るときは、次のチェックリストを使うと冷静に読めます。
SNS発言のチェックリスト
- 価格帯の根拠はあるか
- オンチェーン損益の根拠はあるか
- 短期保有者と長期保有者を分けて見ているか
- デリバティブ市場の過熱を確認しているか
- ETFフローなど現物需給を見ているか
- 1つのチャートだけで断定していないか
- 1日だけの変化を大きく解釈しすぎていないか
たとえば、「ビットコインはもう天井」と言うなら、MVRV、含み益の供給量、長期保有者の売却傾向、ファンディングレート、建玉などを根拠として確認します。
逆に、「まだ上がる」と言うなら、ETFフロー、実現時価総額、短期保有者の損益、過熱していないデリバティブ市場などを見ます。
チャートを読み解いても必ず当たるわけではありませんが、自分の中でビットコインに対する「根拠」を持つことができます。
SNSとの距離感もかなり変わります。
専門用語のミニ解説
- MVRV
-
市場価格と実現価格の差を見る指標です。市場全体がどれくらい含み益・含み損を抱えているかを考えるときに使います。
- SOPR
-
実際に移動したビットコインが平均的に利益確定だったのか、損切りだったのかを見る指標です。
- STH
-
STHは短期保有者です。新しく買った人や、短期的な価格変動に影響されやすい層として見ます。
- LTH
-
LTHは長期保有者です。相場を長くまたいで保有している層で、彼らが売り始めるかどうかは市場サイクルを見るうえで重要です。
- 建玉
-
建玉は、まだ決済されていない先物ポジションの規模です。大きく積み上がると、急な価格変動でロスカットが連鎖しやすくなります。
- ファンディングレート
-
ファンディングレートは、先物市場のロング・ショートの偏りを反映しやすい金利です。短期的な過熱感を見る材料になります。
よくある質問
まとめ:大切なのは「当てること」ではなく「根拠を持つこと」

bitcoin.jpの13チャートを使えば、価格の位置感、投資家の損益、長期保有者と短期保有者の動き、先物市場の過熱、ETF需給を自分で確認できます。
もちろん、チャートを見たからといって今後の動きが必ず分かるわけではありません。
それでも、自分で根拠を確認できるようになると、相場の見え方がかなり変わります。
誰かの「上がる」「下がる」に乗るのではなく、「その根拠はどのチャートで確認できるのか?」と考えることで、SNSのFOMOに惑わされずにすみます。
この記事は投資助言ではありません。ビットコイン価格について、自分なりの根拠を持つためのデータの見方を整理したものです。また「地政学リスク」、「マクロ経済指標」などチャートだけでは読み取れない部分もあります。
